家鳴りの原因を種類別に紹介!困ったときの対処法もチェック
家の中にいると、突然、ピシッとか、バシッなどの音が聞こえることがあります。
一瞬、何の音か原因が分からず心当たりを探しますが、何度か同じような音を聞くうちに、家そのものからの音と気づきます。
この音は「家鳴り」といい、多くは構造材や下地材の乾燥・収縮が原因です。
自然現象のひとつですから、ほとんどは心配するようなものではありません。
とは言っても、家鳴りの仕組みや原因が分からなければ、不安は解消されないでしょう。
不安を解消するために、この記事では家鳴りの仕組みや原因を紹介します。
なかには注意してほしい家鳴りもありますので、ぜひ参考にしてください。
乾燥・収縮による家鳴りの原因と対処方法
複雑に組み合わされた構造材や下地材は、乾燥や収縮をする接合部に歪みが発生します。
歪みが解放される時の音が家鳴りです。
歪みの解放が原因と聞くと不安になるかもしれませんが、ほとんどが構造的に大きな問題となるようなものではありません。
大気中の水分を吸収・放出する木の性質によるものなので心配はいらないでしょう。
具体的に説明していきます。
新築時の構造材などの乾燥で起こる家鳴り
木造住宅の骨組みの構造材には、構造用製材(ムク材)と構造用集成材があります。
構造用製材の含水率は25%以下、構造用集成材では15%以下とJAS(日本農林規格)で規定されています。
新築後の木材は経年で、季節や地域による湿度に順応し、やがては大気中の湿度と木の含水率とが平衡するようになります。
これを気乾状態といい、含水率は15%前後になると言われています。
気乾状態になるまでは数年が必要で、その間は構造材や下地材の乾燥・収縮による家鳴りは避けられません。
また、新築時の各部材同士が十分に馴染んでおらず、乾燥・収縮で落ち着くという面もあります。
冷暖房による家鳴り
気乾状態で平衡している家でも、冷暖房などで局所的な温湿度変化が起こると、家鳴りすることがあります。
- エアコンは化粧梁などに冷気が直接当たる位置に設けない
- ガスストーブは長期間使用しない
エアコンの冷気が化粧梁などの木部に直接当たると、含水率が10%以下になることがあります。
石油ストーブやガスストーブは、燃焼する時に水分を発生させるため家鳴りの原因となります。
対処方法
エアコンの取り付け位置に注意し、局所的な温湿度変化が起こらないようにしてください。
ガスストーブを長時間使用すると、室内の湿度が80%にもなることがあります。
長時間の継続使用時には、適度に換気を行ってください。
室内に温湿度計を設けることをおすすめします。
温度変化による家鳴りの原因と対処方法
日差しによる温度上昇が原因で、外壁や屋根などの外皮部分で家鳴りすることがあります。
日差しで受けた外皮の熱が内部に伝わり、暖かくなると膨張し、冷めると収縮する木の性質から家鳴りが起こるのです。
外壁まわりの家鳴り
外壁の南側や西側では、局所的に温度が上がり、家鳴りすることがあります。
西日が当たる面は短時間で温度が上昇しやすく、家鳴りも起こりやすいでしょう。
屋根まわりの家鳴り
屋根裏の家鳴りは、屋根面に受けた日差しで屋根裏が高温になり、棟木・母屋・垂木や梁などが膨張することが原因です。
夏の屋根裏では、60℃ほどになることがあります。
対処方法
外壁や屋根の温度上昇を抑え、家鳴りの原因を軽減する方法に通気工法があります。
通気工法とは、外壁や屋根の内側に通気層を設け、部材の腐食を抑えると共に温度上昇を抑える効果があります。
屋根裏に配置されている換気口も通気工法の一種です。
換気口が適切に配置されているか、ゴミや蜘蛛の巣などで塞がっていないかを確認してください。
太陽光発電を利用した換気扇付きの換気口が有効な場合もあります。
マンションやコンクリート住宅の家鳴りの原因と対処方法
ここまで木材でできた家の家鳴りについて解説しました。
「うちはコンクリートだけど家鳴りがするのは変?」という人もいるのではないでしょうか?
コンクリート造りの家でも、家鳴りは起こります。ここでは、その理由を解説します。
コンクリートの乾燥で起こる家鳴り
コンクリートに含まれた水分が乾燥すると、コンクリートの体積が減り収縮します。
この収縮した時の音が家鳴りとして響くことがあります。
コンクリートの乾燥収縮は、家鳴り以外にもクラック(ひび割れ)を引きこすことがあるので注意が必要です。
クラックがひどい場合は、建物の耐久性にも影響を及ぼします。
できるだけ早く業者へ相談したり、点検を行ってもらいましょう。
コンクリートの温度上昇で起こる家鳴り
また、コンクリートや、コンクリート造りの住宅の芯となる鉄筋、鉄骨などは、木材と同じく温度変化にも影響を受け伸縮します。
1年を通して寒暖差の激しい地域や季節では、特に家鳴りが発生しやすいです。
環境的に無理なケースもあるかもしれませんが、外と中の温度や湿度の差をなくすようにするといいでしょう。
対処方法
家の中を、なるべく外の気温や湿度に近づけるようにしてみてください。
暖房を調整したり、加湿したりするのも手段のひとつです。
ただし、コンクリート造りの家やマンションでは、壁にクラックができていない限り、建物の構造に欠陥があったり、倒壊の危険があったりするわけではありません。
気にせず放っておける人は、そのままにしておいてもいいでしょう。
それでも家鳴りがうるさい時の対処方法
家鳴りを起こしている原因や家鳴りに危険性が伴わないのであれば、放っておくという人もいます。
しかし、それでもうるさく感じるという人もいるでしょう。その場合の対処方法を2つ紹介します。
耳栓をする
新築の家で起こる家鳴りは、ほとんどの場合深刻な原因はないので、心配する必要はありません。
しかし、音が鳴り続けるのはやはりうるさいと感じるなら、気になる時間帯だけ耳栓をして過ごすのも手段のひとつです。
原因究明をする
築年数が長い家で家鳴りがある場合は、もしかすると構造に問題を抱えているケースも考えられます。
特に目につくトラブルがなくても、一度専門家に調査してもらうのがいいでしょう。
次の項では、注意してほしい家鳴りの原因と対処方法を解説します。
注意してほしい家鳴りの原因と対処方法
家鳴りの原因の中には、構造的に注意しなければならないものもあります。
建物の老朽化による家鳴り
問題をそのままにしておくと、建物が壊れたり、倒壊したりする可能性も考えられます。
国土交通省の調査によると、日本の住宅は平均で30年しか利用されないそうです。
建物が寿命を迎えるわけではなく、耐震性、断熱性などに不安を感じて家を手放す、取り壊す選択をする人が多いとされています。
築年数30年前後の家に住んでいて、家鳴りが頻繁にある場合は、耐震診断や補強工事などについて調べると安心です。
対処方法
耐震診断を受ける
耐震診断とは、昔の耐震基準で設計された建物全体の状態を調べ、現在の耐震基準において耐震性はあるのかを調べる検査です。
耐震診断には補助金が出る可能性もあるため、気になった方は一度調べてみましょう。
家具の位置をずらす
家具が一箇所に偏っていると、家が傾いたり歪んだりする原因になります。
重さが分散されるように配置してみましょう。
地震後に起こるようになった家鳴り
地震の揺れでほんの少しずれた接合部が、温度や湿度の変化で元に戻る時に家鳴りがすることがあります。
この場合は、やがて落ち着きますので少し様子を見ましょう。
もちろん、壁にクラックなどの損傷が起きている場合は、家鳴り以前の問題で技術者によるチェックが必要です。
リフォーム後に起こるようになった家鳴り
増築あるいは屋根の葺き替えなどを行った後、家鳴りすることがあります。
増築の場合は、経年で安定していた構造物に新しいもの追加するため、双方の動きの違いで家鳴りが発生するでしょう。
屋根のリフォームで起こる家鳴りは、重量の増減によるものがほとんどです。
リフォームで屋根重量が軽くなった時は、今まで抑えられていた構造材が解放する方向に動き、重くなった時は耐える方向に動くため、家鳴りになって現れます。
対処方法
増築や屋根荷重が重くなるリフォームでは、事前に技術者による構造の検討をしてもらうことをおすすめします。
業者にすすめられるままに、十分な構造の検討がないままリフォームをして後悔しないように注意しましょう。
原因がわからなくても家鳴りの記録を残して業者に相談しよう!
ほとんどの家鳴りは自然な現象で心配するようなものではありません。
それでも不安が解消されない場合は、どのような季節・時間・状況で家鳴りしたかを記録することをおすすめします。
業者や技術者は、経験から家鳴りの原因を推定できます。
しかし、細かな記録があれば、より的確な判断と対応ができるでしょう。
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ぜひ確認してみましょう。